2026年2月9日
祭りのあと
THEATER D Vol.5の翌週。オールナイトに700〜800人が集まって興行的にも成立した。 福尾が一番驚いたのはbilly woods——音源とほとんど何も変えていないのに圧倒的だった。 そして「明日には忘れてしまうものばかり摂取している」という反省と、 日常の会話で知識をどう扱うかという話。
話の流れ
- 0:20夜を消した福尾はオールナイト初参加。入場を待つ20〜30分が一番長く、始まってからは朝まであっという間だった。ほぼずっとフロアにいた。
- 1:50興行的にも成立したDos Monosが赤字を切ってでもやる意義がある、というマインドセットでいたら、ほぼ満員御礼だった。Vol.6、Vol.7も続けていける。
- 3:20billy woodsに一番びっくりした音源では装飾的に聞こえるが、ライブでは声とトラックだけ。ベースのループだけの瞬間もある。一個一個の音が強い。
- 5:00音源と何も変えていないエフェクトも何もかけず、身振りも大きくせず、淡々とラップする。「喉からスピーカー」を良しとするのとは違う、「いまこれは曲なんです」という威嚇効果。
- 6:20マイクチェック1、2で決まるリハでラップし始めた瞬間「一瞬ラップやめようと思う」。54-71が海外ツアーで、向こうのドラマーがスネアを一発叩いただけで負けたと思った話。
- 12:40Parker Coreyの映画好き蓮實重彦の本が2年前に翻訳されて以来ハマっていて「世界最高の映画批評家だと思う」。ライブ前日にシネマヴェーラでHoward Hawks『赤い河』を観ていた。
- 19:00一生覚えていられるものあのライブは奇跡的だったが、それに類するものは探せば結構あるはずなのに、明日には忘れてしまうようなものばかり摂取している。
- 22:10ヒットアンドアウェイ方式日常の全ての面を切り売りしても友人と接する時間に当てることはできない。一人の時間があって、作品を出したりポッドキャストで喋ったりするくらいが肌に合っている。
- 24:30知識の取り扱いは難しい本人は教養が欲しくて摂取しているのではなく面白いから見ているだけなのに、話すと知識マウントと思われる。無闇に話が長くなるのだけは自戒している。
- 39:20疎密密なのがノイジーマイノリティで、疎なのがサイレントマジョリティ。ノイジーマイノリティのロジックでサイレントマジョリティを救おうとするから、リベラル的なものが失調する。
- 42:34リベラル政党がない政策レベルでは誰も対立していない。夫婦別姓も日中関係も手取りも、みんな同じことを思っている。それなのに党のくっついたり離れたりだけがなされ、現実と乖離している。
- 47:47ライブで身体的に元気になった帰り道の体が軽すぎて小走りになった。ただし「眠くなかった」のは、よく考えると普段起きている時間だったから。
- 49:10選挙は子供と遊ぶようなもの子供にとっては投票所もアトラクション。作品作りや哲学者としての発言とはレイヤーが違うのだから、そんなに構える必要もないのでは。
- 51:35投票するつもりで考えたことがなかったインタビューを受けている哲学者が、自分が投票する側として考えたことがないまま原稿になっている。「マジやばいよなそれで」。
- 57:20これこそサイレントマジョリティの声「そんなにやったら自民党に入れちゃうぞ」という逆ギレのような感じ。次の収録では投票したかどうか聞かないでほしい、シュレディンガーの猫状態で。
この回で出てきた言葉
- 赤い河Parker Coreyがライブ前日に観て「牛が横断するシーンがすごかった」と言った西部劇。
- 一生覚えていられるものTHEATER Dのようなライブに時間を使いたい、こういうことだけで本当はいいはずなんだ、 と福尾は言う。
- 音源と何も変えていないBy StormやParker Coreyはトラックにエフェクトをかけたり引き伸ばしたりして ライブなりの盛り上げ方をするが、billy woodsは違う。
- 実は普段起きている時間オールナイトのライブで身体的に元気になった、帰り道は体が軽すぎて 謎に小走りで帰った、全然眠くなかった——と福尾は言う。
- 選挙はレイヤーが違う「入れたいところがない」「白票なら行かない」と言う福尾に対して、荘子itが返した話。
- そんなにやったら自民党に入れちゃうぞ「入れるところがない」という話の果てに福尾が言ったこと—— 「自民党に入れるかもって言っておけば、じゃあお前は入れない方がマシだって みんな思ってくれるから、入れなくてもOK」。
- Nathaniel RitchieBy Stormのボーカル。
- Parker CoreyBy Storm(元Injury Reserve)のトラックメーカー。
- ヒットアンドアウェイ方式日常のすべての面を切り売りしても、友人と接する時間に当てることはできない。
- 震える福尾福尾が一番興奮しているときは言葉を失って、プルプル震えながら 「いやー、すごかった」しか言わなくなる。
- マイクチェック1、2で決まるリハーサルでbilly woodsがラップし始めた瞬間、「一瞬ラップやめようと思う」。
この回で触れられた項目
この回からの引用
それに類するものは探せば結構あるっていうかさ、映画でもそうだし展覧会でも本でもなんでもいいんだけど、あるはずなんだけど、明日には忘れてしまうようなものばっかり摂取してしまってるみたいな。
『置き配的』の中に出てくる疎密っていうのは、密なのがノイジーマイノリティで、疎なのがサイレントマジョリティなんだ、みたいな話も。
→ 疎密
サイレントマジョリティは密な空間の側からすると彼らはサイレントなんだけど、でも別に1日中黙ってるわけでもないし、喋ったり書いたりはしてるはずで。それを別にノイジーマイノリティの側のロジックに包摂するんじゃなくって、それがそのままあるっていう状態をいかにして維持したりとか認識したりとかするか。
→ 疎密
本当に一番問題なのって、サイレントマジョリティとノイジーマイノリティじゃなくて、普通にサイレントマイノリティ的な存在が確かにいるわけじゃん。そこに触れられないよね、今のこの状況論を話していると。
→ 疎密
作品作りとか哲学者としての発言とかにおいては、ある種の仕事上としてのプライドとか矜持としてあるけどさ。選挙なんて子供と遊ぶみたいなさ、と思ったら構える必要もないんじゃないのみたいな。
今のさ、インタビュー受けてる哲学者がさ、自分が投票するつもりで考えたことなかったってさ。マジやばいよなそれで、原稿になってんだもんな。