2025年11月10日
秋の虫
紀伊國屋じんぶん大賞へのざわつきから「評価」をめぐる回へ。 ダウンタウンプラス、映画の感想が界隈ごとにバラバラであること、 「メタとベタの秘密結社」。後半は疑問文問題の続き(AIに敬語で聞いてしまう)と、 収録中に聞こえてきた秋の虫の音。
話の流れ
- 0:20Dos Monosの新作が完成満月の水曜日に仕上げた。水中と海がモチーフなので海と月のアルバム。伊藤潤二の邪景でレコードも出す。
- 5:00じんぶん大賞へのざわつき読者投票・書店員投票・人文書委員会の会議で決まる、少しブラックボックス的な賞。名前は出さずに批判されているが「でも僕のことじゃん」。
- 9:20座の文芸俳句では、みんながいいと言った句とは違う句を最後に先生が推し、みんなが「確かに」と思う。批評や選考にすごく近い。推すとは何らかの不合理性を含み込むこと。
- 14:20評価軸は界隈ごとに違う『8番出口』は映画関係の人には評判が悪い。みんな何かを代表している。ミクロな政治性を誰もが持っている。
- 21:00ダウンタウンプラス怖いもの見たさで加入した。松本人志が涙ぐんで出てきて第一声が「松本、動きました」。客筋が完全に変わっていて、ファンダムカルチャーになっている。
- 29:00なぜ浜ちゃん主演で映画を撮らないのか映画を4本撮って全部こけているのに、一番の資産を使わない。横並びの人を使うのは気恥ずかしいのか。吉本がダウンタウンに頼りきりで空気の入れ替えをしなかったツケでもある。
- 31:40評価エンタメジョージの動画も松本の笑いも、外側から評価する目線がベースにある。「厳しいって」。全員が評論家になる構図。
- 38:00メタとベタの秘密結社「バーン」のMVはそこがいい。リアリティショーのベタな出演者とメタなツッコミが手を組んで袋小路になっている状況を、さらに上からベタに見る。
- 43:00一対一の評価は何も生まない作品と評価の言葉が閉じた関係でぐちゃぐちゃやっていても、その言葉自体を面白いと思う三人目が出てこないなら何も生まれない。
- 52:20好きだったものに向き合えなくなるキャンセルとはまた別の現象。「もともと面白いと思ってませんでしたよ」という人が湧いてくると、評価そのものが不可能になる。今この瞬間の評価しかない世界。
- 58:00閉鎖性への憎悪『ソーシャルメディア・プリズム』はエコーチェンバーなどないと言う。フィルターバブルを壊すとむしろ立場が強固になった。問題は閉鎖性ではなく「あいつらは閉鎖的だ」という憎悪のほう。
- 1:06:40AIに敬語で聞いてしまうなぜChatGPTやGeminiにタメ口で聞けないのか。標準語のタメ口の疑問文が言えないことと共通している。自閉症傾向のある子が方言を話さないという論文も連想される。
- 1:08:50標準語はフィクションの言葉五条悟は「なんとかなの」と言えるが、ルフィやナルトは言わない。標準語との出会い方がアニメだったから、そこにキャラっぽさの気恥ずかしさが残り続けている。
- 1:11:10秋の虫「虫鳴いてる?」「セミ以外の虫は秋に鳴くよ」。田舎に2週間いると、とんでもないサイクルで主役が入れ替わる。ブームは早いが消費者はいない。
- 1:18:00戦争画展日本軍の顔が描かれた絵が検閲で消されていた。視点人物の姿が不可視化されていたことが、展示室の最初と最後の切り返しショットで浮かび上がる。
この回で出てきた言葉
- 秋の虫収録の終盤、まったりしすぎて虫の音が聞こえてきたことから。
- ウニが過ぎるくら寿司のCMで浜田雅功が言わされていたネットスラング的な言い回し。
- AIに敬語で聞いてしまうChatGPTやGeminiに、なぜタメ口で聞けないのか。
- ジョージ男磨きハウスの主宰。
- 好きだったものに向き合えなくなる単純なキャンセルカルチャー(嫌いだったやつが問題を起こしたから消していい) とは別の現象。
- セロリ「育ってきた環境が違うから好き嫌いは否めない」。
- 戦争画展日本軍の顔を描いた絵が検閲で除かれていた、という事実が浮かび上がる展示。
- ソーシャルメディア・プリズムアメリカの社会学者による本。
- ダウンタウンプラス福尾が怖いもの見たさで加入した。
- 浜田雅功「なんで浜ちゃん主演で映画を撮らないんだろう」と福尾はずっと思っていた。
- 評価エンタメ評価すること自体がコンテンツになっている状態。
- 標準語はフィクションの言葉標準語のタメ口の疑問文はどこかキャラクターっぽい、と福尾は言う。
- 閉鎖性への憎悪『ソーシャルメディア・プリズム』を読んだ福尾の結論。
- 松本、動きましたダウンタウンプラス初回生配信で、客入り100人ほどのスタジオに袖から出てきた 松本人志が、しばらく涙ぐんで声が出ないあと、第一声で言った言葉。
- 松本人志ダウンタウンプラスの最初のコンテンツで2年ぶりに公の場に出てきて、 涙ぐんだあとの第一声が「松本、動きました」。
- メタとベタの秘密結社リアリティショーのベタな出演者と、それにメタなツッコミを入れるスタジオのタレント。
この回で触れられた項目
この回からの引用
メタとベタの秘密結社を、さらにそれ自体をベタなものとして見るみたいな感じになってていいんだよ。
好きか嫌いか、本人がそれをめっちゃ好きだとかめっちゃ嫌いだと思ってるみたいな切実さを資本にしてメッセージを価値づけするよりも、好きか嫌いかどっちなのか分かんないけどめっちゃ面白いみたいな発見があるものの方がやっぱ好きだな。
→ 評価エンタメ
閉鎖性が問題なんじゃなくて、閉鎖性への憎悪の方が問題なんだなと思った。
→ 閉鎖性への憎悪
基本的に虫って、セミ以外は秋に鳴くよ。
→ 秋の虫