これが奇跡ですよと指ささない
これがきせきですよとゆびささない
『急に具合が悪くなる』はギヨーム・ブラックが撮影監督で、スタンダードとワイドの中間くらいの画面サイズで、さり気ないのにビシッと来る。
番組より
これが奇跡ですよって指ささないで、観客が一緒にこれ素晴らしい瞬間かもって思えるのを、本当その罠をいっぱい仕掛けるくらいな感じで。
この項目について
荘子itはそれをマニエリスムの極致と呼ぶ——映画の魔法にかかるまで全ての手を尽くす、あの手この手で奇跡を起こそうとするのだけれど、「これが奇跡ですよ」と指ささない。観客が一緒に「これ素晴らしい瞬間かも」と思えるように、罠をいっぱい仕掛ける。奇跡をポンポン起こしたらただのエンタメになってしまうので、みんなが信じられる状態にまで高める——恋に落ちることに近い、恋愛工学的な力学で乗せられながら、恋愛工学だけでは果たせない「本当に奇跡だ」と信じられる感覚に至る。
この項目が出てくる回
関連項目
- 地元の最高の先輩濱口竜介について荘子itが言うこと。
- 恥をかかせないための作法黒沢清の時代劇の、いつでも白黒フィルムに繋げられるような厳格な様式について。
- きついと思うかどうかはお前次第村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』に出てくる格言——Pain is inevitable but suffering is optional。
- 店員と全く交わらずに楽しいモバイルオーダー問題、タッチパネル問題として嘆かれることについて、福尾は機械化自体は全然嫌ではないと言う。
- 現象学が嫌いケア的な文脈のコンテンツに心理的な負荷を感じる、という話を荘子itが「人によるよね」で回収しようとしたら、福尾から「現象学が嫌いなんだよな」という「マジでこいつしか言わないタイプの理由」が返ってきた場面。
- そっちにも心はあった黒沢清の時代劇について。
- 過保護になることでタフネスが抜け落ちる福尾が書いた『カホ』の書評について。
- 一度英語を通過した語彙村上春樹の面白さの源として福尾が挙げるもの。