2025年12月29日
すべての質問に答える2(後編)
前編から3日しか経っていない年末の後編。年の離れたパートナー、文章を書く覚悟、マイナンバー、広島のおすすめ、中学高校時代のことまで。終盤、作品そのものが状況への批評として立ち上がってしまう現象について訊かれ、「分かってる勢」にならないようにしようね、という話になる。
話の流れ
- 0:093日しか経っていない年末で今週末は忙しく、今日しか無理だった。
- 5:01忘れ去られかけているそのあたりから自分が受けた影響が書かれている。そんなに入手困難でもないと思うから。
- 10:01湯たんぽが出番を迎える年間ベストの話題を耳にする季節になりました、というリスナーから。
- 15:02レッツゴーという曲を作ろうTaiTanや没のラップが乗り始めてからだんだん様子がおかしくなってきて、現場でついにそうなる。それこそがリアルだから。
- 20:0210歳ほど年下の恋人がいる趣味が合って心地よい日々を過ごしているが、年の離れたパートナー、特に女性が年上の場合。
- 25:05そう捉えられるならいいんじゃないか実際に恋人はいらっしゃるみたいだし。
- 30:05いつも楽しく愛聴しておりますトートロジーのくせに嘘、と突っ込まれる。
- 35:06状況論だけではなく何度もネームドロップして。宗教的なものを擁護しようという論調はあるけれど、そいつが何をやっているか。
- 40:06最近はヘッドホンが多い音も大事だから基本的にはスピーカーを鳴らしたいけれど。
- 45:07覚悟を持って文章を書くようになったかそういう心境の変化で書き方に違いは出たか。人に読まれる価値のある文章のコツは。
- 49:50置きに行ってるぞ、と気づく自分の欲望や好奇心と向き合わずに済ませる口実が世の中には無数にある。それに対する自己チェック能力を上げる。
- 55:07マイナンバーはあったほうがいい管理されるということについては、自分も結構無抵抗なところがある。
- 1:00:09OB訪問別の方だったと思うけれど、そんな質問もあった。
- 1:05:09荘子itの作り方もそんな感じいいかもね、という流れで。
- 1:02:01長期連載になってやっと行き当たりばったり感が出てくる。いつでも救済していいでしょ、という世界観になったら。
- 1:07:03子供はお父さんの曲にどう反応するかうちの子も結構、自分の曲を好きでいてくれる。
- 1:12:06広島のおすすめスポット二人ともそんなに縁があるわけではない。福尾のほうが比較的近い。
- 1:17:06中学高校時代のことクラスのなかでの位置、部活のこと。
- 1:22:00作品そのものが批評として立ち上がる単に状況を映すのではなく、状況そのものをえぐり出してしまう力を持つのではないか、というリスナーからの問い。
- 1:27:00分かってる勢になりたくない仕上がったリスナー、常連客のようになる危険性がある、ということを早めに言っておく。
- 1:32:05水出しコーヒーいい角度をついた質問だった。
- 1:37:07バイクだけ取っておいてよかった子供ができると車を運転できないと。20何年間はジメジメとしていた。
- 1:42:10視覚的なものはシャットダウンしづらいタイムラインをスクロールするときは音を消しているから音楽は流れてこないけれど、映像は入ってきてしまう。
- 1:47:10ふとした瞬間に思い出す映画や小説通勤中に流して楽しんでいます、というリスナーから。
- 1:51:50過去に戻るのを許す2〜3年に一度、村上春樹をまとめて読み返す季節がやってくる。
- 1:54:50ニードルスの蝶荘子なので蝶といえば俺、という理屈で、既存のブランドを勝手に自分の文脈に当てはめる。
- 1:57:08バンドT問題めっちゃ好きな人からすると、好きじゃない奴らが着ている。それがファッションのいい側面でもある。
- 2:00:22関係が物になるボーイフレンドデニム、ダッドシューズ。関係性が物化されて、元の関係から剥離していく。
- 2:02:35裸足でローファー縮んだグレーのスウェットに赤いナイロンパンツ。生活が現れているのにかっこいい。
- 2:05:27妻の実家ではミリタリーを着ないとはいえ美容室で「あれレシスじゃん」と分かち合えるのはいい。
- 2:07:00良いお年を初の2時間超え。来年は躍進の年になるように。
この回で出てきた言葉
- 1対1の関係を超えるつもりがあるか結婚をどう考えるか、年の離れたパートナーをどう考えるか—— その二つに共通するのは、今の1対1の関係を超えるつもりがあるかどうかだ、 と福尾は整理する。
- 置きに行ってるぞ、と気づく文章を書く覚悟について訊かれて福尾が答えること。
- 親が増える結婚して一番びっくりしたことを福尾が語る。
- 過去に戻るのを許す福尾は2〜3年に一度、村上春樹の小説をまとめて読み返す季節がやってくる。
- 関係が物になるダッドシューズ、ボーイフレンドデニム—— **服では、関係がそのまま物になっている。
- 管理されることへの無抵抗利便性と国家による管理を天秤にかけたら、というリスナーの問いに、 二人ともあっさり管理される側に傾く。
- 暗いけど鬱じゃない福尾にとって**暗いことと鬱なことは全然違う。
- 高級なポイントの取り方福尾は文章をポイント制で考えている。
- こんなはずじゃなかった『Dos Monos』は月のアルバムとして、 伊藤潤二のジャケットのイメージ——幽玄でほの暗く妖艶な感じ——を 先に固めてからビートを作った。
- 最後にカメラを引いて終わる日記のエンディングの型。
- 作品そのものが批評として立ち上がるリスナーからの問い——単に状況を映すだけでなく、その状況そのものをえぐり出してしまう力を作品が持つのではないか。
- 視覚的なものはシャットダウンしづらい『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌を、 荘子itは公開から数か月経っても聴いていない。
- ジメジメしたところで育つアニメーターに聞いた話として荘子itが出す—— **池袋や渋谷は昔は沼地や水辺で、 風水的に悪い気があるからこそ繁華街として栄える。
- そいつ自身は何を信じているのかいま、カルトや宗教的なものは知的にバカにされる雰囲気にあるので、 状況論としてそのポジティブな面を見ていきましょうという論調が出てきている。
- その人の生活が現れている服関係が物になるの記号のほうでも、 オリジナルこそ偉いという進行のほうでもない、第三の側面として福尾が挙げる。
- バンドT問題めっちゃそれが好きな人からすると、好きじゃない奴らが着ている—— メタルのバンドTをめぐって常に取り沙汰される問題。
- プライベートのドレスコード好きなブランドはナチス期ドイツ軍のミリタリーをサンプリングしていて、 それは 「迷彩の柄自体に罪はない、政治的文脈から切り離して着ることも可能だ」 という一つの強いメッセージであると同時に、 メッセージ抜きで普通にかっこいい。
- 変なことが起こりそうな場所を作る福尾が斎藤環とのトークイベントで、文章の書き方として答えたこと—— **変なことが起こりそうな場所を作って、あとは書きながら考える。
- ポッと出たものが一番いいDos Monos の作品では、最後の最後にやっつけでできた曲が いちばんアンセムになるということが続いている—— 前作は「リーマリン」、今回は「リアリーフリー」。
- 本当の複雑さと読みやすさは違う『置き配的』について。
- 真ん中から書き始める文章を書くコツを訊かれて福尾が答える、常に意識していること。
- モノリンガルラップの豊かさバイリンガルのラップは面白いが、 **バイリンガルが二人いる中に一人モノリンガルがいると、 それはそれで独特な個性に見えてくる。
- 両面作戦10歳年下の恋人がいて周りからとやかく言われる、というリスナーの相談に、 福尾が出した案——**10歳上の恋人も作る。
- 分かってる勢になりたくない仕上がったリスナー、常連客のようになってしまう危険性がある——ということを早めに言っておくぞ、という話から。
この回で触れられた項目
この回からの引用
バイリンガルが2人いる中に1人モノリンガルいると、それはそれですごい独特な個性に見えてくるっていう論点を提出して。
それに対して尺八とかの、ただの例えばどの音だとしても、その音がめっちゃいろんな倍音の変化だけでいろんな表情つけられるみたいな。
こんなはずじゃなかったみたいな気持ちになったんだけど、でもまあそれがリアルだしなみたいな。
レッツゴー言ってなったら、レッツゴーっていう曲を作ろうみたいな感じで。
とはいえポッと出たものがめっちゃいいなみたいなのを、だんだんなんていうか実感が伴って分かってきたなみたいなのはあるかも。
結婚してしばらく経って、あれ親増えてるぞみたいな、めっちゃびっくりした記憶があるね。
→ 親が増える
そんな感謝できるって結構奇跡的なことだよね。大体の話聞くと馬が合わないとか、大変っていうことの方が多いだろうし。
→ 親が増える
2つに共通するのは、今の恋人との1対1の関係を超えるつもりがあるかどうかだよね。
じゃあその結婚してない恋人関係が純粋な二者関係かって言うと、全然そういうことでもないし。
10歳上の恋人を作るってのはどう?
→ 両面作戦
この人は結構そういう視野をどちらかというと狭める方向でやるしかないんや的な排水の陣モードになっているけど、むしろ広げてみる。そしたらなんか不可抗力で逆に安定するみたいなことがね。
→ 両面作戦
状況論だけじゃなくて、そいつが何を信じてるかっていうか、そいつ自身の宗教的な部分も含めて、やっぱ語っていくことが大事だよね。
特に何も信じないんだけど宗教的なものも許していきましょう的な話だと甘いっていうか、実際お前はどうなんだみたいな感じになるからね。
真ん中から書き始めるってことは常に意識してて。
本当にいきなり言っちゃうみたいな、結論からスタートして、その結論の意味がどんどんガラガラ変わっていくのをなんか楽しみながら書く。
なんか自分の欲望とか好奇心みたいなものを向き合わずに済ませる口実が世の中にいっぱいあるから。こうやるべきだとか、こうやった方が今いいっていうことになってるとか、そういうのが無数にあるから。
自分がちゃんとしようとしてしまってることに対しての解像度を上げていくっていうことかな。
高級なポイントの取り方と程度の低いポイントの取り方が僕の中では結構判断基準がはっきりあって、ホットな話題に口を出すっていうのは僕の中であんま高級なポイントの取り方じゃないんだよね。
批評文を書く上での批評文についての批評性も必要だとね。
税金とか保険料とか確定申告とか、こっちが何もしなくても自動的に勝手に口座から取っていってくれるんだったら、もうそれでいいっていうか、好きなだけ持ってってくれよと思っちゃう。
結局だって上から監視されなくてもね、相互監視的なものはずっとあるわけで。
変なことが起こりそうな場所を作った後は書きながら考えるって、それだけ取り出すとすごい即興的な書き方に思えるかもしれないけど、多分変なことが起こりそうな場所探しみたいなのを常日頃からぼんやりとしているから、だからできるみたいなとこもあるだろうね。
プロットはないけどカードは用意してるっていう感じで実際文章も書き始めるし。
本当の複雑さと読みやすさは意外と違う。
ちゃんとしてるところよりも後半の結構変なこと言ってるところの方が、意外とすんなり面白く読めるみたいな。
自分で言うのもあれだけど、一番かっこいい陰キャみたいなポジションだったかもね。
TaiTanが夜道、お前さ、俺らマジ18歳になってキスもしたことないとかマジ恥ずかしいぞみたいなの急にキレ出して。
単に状況を映すだけじゃなくて、その状況そのものをえぐり出してしまう力を持つんじゃないかと思ったんですね。
状況を俯瞰して考えるではなくて、俺らはこうっていうのをやってるっていう意味では、そこがめちゃくちゃ面白いと。
時代のカウンターとか言う前にやることやるみたいなさ。
だからやっぱり仕上がったリスナーみたいな、常連客みたいな、分断パワーの常連客みたいになる危険性があるみたいなことを早めに言っておくぞみたいな。
俺ら分かってるよねぜに、ならないようにしようねっていう。
エンディングに関しては、なんかちっちゃいことを言って終わるといい感じに勝手になるっていう。
具体的なところにフォーカスしてるようだけど、カメラ最後引いて終わるといいよみたいな。
風水的に言うと悪い気があるからこそ、そういう繁華街として栄えるんだって。
ジメジメしてるとことか、それこそがまさに風水的にも結構都市的な感性を育むんだみたいなのは結構あるかな。
僕の中で暗いことと鬱なことって全然違う。暗いけど鬱じゃない状態は可能って感じがしてて。
暗いけど鬱じゃない状態を維持するために頑張ってるって感じがして、僕はそのためにはやっぱりすごい早い段階で察知して避けるってことが大事。
先に曲聴いちゃうと、米津玄師の曲ってだから内容の完璧な要約になってるから、それを先に聴いちゃうと。
視覚的なものはシャットダウンしづらいよね。基本的にタイムラインスクロールするときは音は消してるから音楽が流れてこないけど。
そこで無理やり頑張るんじゃなくて、一回過去に戻るのを許すみたいな。そういう自分が中学とか高校の時とかに抱えてた鬱屈とか、そういうものに浸るのを許すツールとして村上春樹があるみたいな。
ノスタルジーで基本的にちょっとストイシズムの対極にあるから、今は現在進行形で面白いことやろうと思うと、そういうのに浸ってる時間を排除していくんだけど、一回ちょっと一旦許してみるみたいな。
メタルバンドT問題って常にそうじゃん。めっちゃそれ好きな人からすると好きじゃない奴らが着てるみたいな。それ俺やっぱファッションのいい側面だと思うんだよね。
→ バンドT問題
アニメ全然好きじゃないのにアニメTを着ることによって逆搾取するんだみたいな。
→ バンドT問題
やっぱ関係が物になってるっていうか、服ってダッドシューズとかボーイフレンドデニムとか。
→ 関係が物になる
換喩的だよね。隠喩的にルーツに忠実な意味と表象が完全に手を結んでる状態じゃなくて、コロコロ転がった結果にそれだけがかっこいいものとして切り出された。
→ 関係が物になる
その人に馴染んでるっていうか、その人の生活が現れてるっていう側面もなんかあると思ってて、そっちの方が僕はグッとくる。
いわゆるファッショナブルな格好ではないけど、でもその人の本当に生の生活が現れてるんだけどでもかっこいいみたいな。
妻の実家の両親に会うときとかはあんまりミリタリーの格好したくないなみたいな。好きじゃないだろうし。
ミリタリーパンツ履くっていうだけのことでも、それだけの考えというか情緒が生まれるっていうのがファッションのいいところだなみたいな。